横浜地方裁判所 昭和39年(レ)23号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被控訴人は控訴人が原審第一回口頭弁論期日において被控訴人の主張する一時使用の賃貸借契約の成立を認める旨陳述しながら、第三回口頭弁論期日において右陳述を撤回し本件賃貸借が一時使用のものであることを争うのは自白の撤回に該当するものとしてこれに異議を述べるので検討するに、いつたい一時使用の賃貸借かどうかの判断は賃貸借成立の動機、目的、存続期間の長短、建物の構造、設備その他諸般の事情の総合による法的価値判断の問題であり、そしてかかる判断の基礎となるべき右のような諸事情はいわゆる間接事実に類する事項であるから、当事者がかかる諸事情の一部を自白したからといつてそれに拘束されるいわれがなく、又かかる事実に基づく法的価値判断の結論について当事者が一致した陳述をしても、その陳述に拘束力を認むべき理由がない。ただかかる事項についても当事者間において終始争いがなく、而もこれと相矛盾する事実の立証活動を何らしない場合に限り、裁判所は訴訟審理促進の必要から裁判所の職責と矛盾しない限度でそれについての審理を打ち切つて裁判の基礎として採用し、その誤りを敢えて争わなかつた当事者の責に帰しても違法でないというに過ぎないのであり、従つてかかる事項について一旦当事者が一致した陳述をした後においてでも争いが生ずればかかる訴訟促進的処理は最早是認され得ないものである。 (森文治 田辺康次 門田多喜子)